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正直、僕たち大人だけでどうにかするものでもないし、どうにかできるものだとも思えません。

 

「学園都市だから学生や若者たちのプログラムをやる」というのが財団の考えですが、その成果を大人が用意したり約束したりするのは、学生・若者にとっても大人にとっても情けないことです。
 

特に今年の(ひとまず今年の)八王子ユースシアターは「つくる、タマリバ。」を標榜することにしました。もちろん大人のたまり場じゃありません。若い世代のたまり場をつくろうということです。これまで大事に大事に使われてきたであろう小綺麗ないちょうホールを、得体の知れない若者たちが用もないのにふらふら集まってくるようなたまり場にすることが目標です。
 

岩手の山奥に住んでいるのをいいことに八王子のいちょうホールにいたずらをしたいわけではなく、これは、「学園都市」の「公立文化施設」なんだから本来そうあるべきでしょう、そうなっていない今までがおかしかったんじゃないですか、という僕なりの問題提起です。かなり強い言い方をしているのは、この国の芸術文化状況にとっても、全国各自治体の公立文化施設にとっても、これからの日本社会を担う若者たちにとっても、どこから考えてももう先延ばしにしてやり過ごす余裕はないと切実に感じているからです。


「学生や若者を育てること」は「学生や若者のクリエイティビティを呼び醒ますこと」に他ならないと僕は考えています。でも、それは高校までの学校の授業のように大人が正解をちらつかせて導くことでは成し得ません。必要なのは「なにかが通じ合う誰かと、なんとなく一緒にいる」という状態です。めちゃくちゃ曖昧で漠然としていますが、「とりあえずそれでいいよ」と明け渡せてこそ大人だと僕は思ってます(財団のみなさんもよろしく!)。


クリエイティビティとは「つくる感性」です。人間がタマる。感性がタマる。そんなタマリバを、つくる。そのタマリバから、なにかがつくられる。


そのサイクルの原動力には演劇をつかいます。それは一応決めていますが、あとは学生や若者のみなさんにどうにかしてもらうつもりです。とりあえず今年はそれでやってみます。

​小堀 陽平 Kobori Yohei

東京都出身。岩手県西和賀町在住。日本大学芸術学部演劇学科卒、同大大学院芸術学研究科舞台芸術専攻博士前期課程修了。2012年、岩手県西和賀町にて演劇等の合宿事業「ギンガク(銀河ホール学生演劇合宿事業)」を立ち上げる。2014年、西和賀町に移住。2017年、西和賀町文化創造館アートコーディネーターに着任。町民劇事業「銀河ホール演劇部」、演出力を競う日本唯一の高校演劇大会「いわて銀河ホール高校演劇アワード」を企画・実施。2019年より一般社団法人ブリッジ代表理事、岩手県文化芸術コーディネーター、岩手県立千厩高等学校演劇部の部活指導員を務める。2020年、八王子ユースシアター外部ディレクターに着任。

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